【冬休みに学童が担う役割とは?】家庭支援と居場所づくりのポイント

【冬休みに学童が担う役割とは?】家庭支援と居場所づくりのポイント

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 こどもたちが楽しみにしている冬休み。しかし、こどもたちが休みに入っても、保護者が同じように仕事を休めるとは限りません。そのため、冬休み中の学童保育所には朝から夕方まで多くのこどもたちが集まることになり、いつも以上に活気あふれた居場所となります。

 そんな冬休みの学童保育所は、実は「こどもを安全に預かる」という託児機能だけでなく、さらに重要な役割を担っていることをご存知ですか?本コラムでは、冬休みに学童保育所が果たす大切な役割について、家庭支援とこどもたちの居場所づくりという視点から整理していきます。


◎「家庭支援」の役割とは?

 学童保育所は、共働き家庭の保護者とこどもの双方を支える大切な「家庭支援の役割」を果たしています。具体的にどのような家庭支援を実施しているのか、見ていきましょう。

① 生活リズムを整えることができる!

 冬休みなどの長期休暇はどうしても生活リズムが崩れがちですが、学童保育所に朝から登所することで、こどもたちは朝早く起きたり、昼食やおやつを皆と一緒に食べたり、体を動かして遊んだりと、いつもの日常と似た健康的な生活リズム・ペースを保つことができます。冬休み明けに、意外と生活が乱れていない子が多いのは、実は学童保育所の役割が大きいのです。

②年末で忙しい家庭を支えられる!

 年末の時期は、学童を利用している多くの保護者にとって非常に忙しい時期です。仕事は繁忙期、加えて家でも大掃除や年末の予定などが立て込み、心に余裕が無くなったり、こどもとの時間が少なくなってしまったりすることもあるかもしれません。そのような状況下で、安心してこどもたちを預けられる学童保育所の存在は、いつも以上に家庭にとって大きな支えとなります。学童保育所でこどもたちが安全に、そして楽しく一日を過ごしてくれていると分かるだけで、保護者の心の負担はぐっと軽くなります。

③ こどもの「退屈」と「孤独」を和らげることができる!

 楽しく充実したイメージがある冬休みですが、実はこどもたちが家庭で「退屈さ」や「孤独」を感じやすい時期でもあります。学校が休みになって多くの時間があるにも関わらず、友達と会う機会が減ったり、寒さで外に出かけづらくなったり、家の中で過ごす時間が長くなったりと、気分が落ち込みやすい状況になりがちだからです。また上述のとおり、保護者が忙しそうにしているのを見てなんとなく居心地が悪く感じたり、寂しくなってしまったりする子もいるでしょう。
 学童保育所を利用すれば、学校が休みになっても友達やスタッフなど多くの人と関わる時間が自然と増えるため、こどもたちの「退屈さ」や「不安感」を和らげ、気持ちを安定させてくれる助けになります。 



◎「居場所づくり」の役割とは?

 学童保育所は「家庭支援」という役割に加えて、こどもたちの安心で安全な「居場所づくり」という重要な役割も担っています。単なる「託児的な居場所」という意味ではなく、冬休みの学童保育所だからこそできることがたくさんある、「特別で楽しいこどもたちの居場所」です。学童保育所が果たす「居場所づくり」の特徴をいくつか挙げていきましょう。

①「家と学校の良いとこ取り」をした居場所!

 学童保育所は、こどもたちにとって学校と家以外の第三の居場所=サードプレイスといわれます。家庭のように安心して過ごせて、学校のように友達がいて、だけどどちらとも違うちょっと特別な空間。
 学童保育所は、家庭のような安心感を持ちながら、学校のような集団生活から得られる学びと面白さを取り入れた、のびのびと過ごせる居場所として大きな意義を持つのです。家と学校の代わりに学童保育所で過ごす時間が長くなる冬休みの間、学童ならではの温かみがある居場所で、こどもたちが過ごすことができるのは非常に有意義なことです。

② 冬ならではの「特別な思い出」を作れる居場所!

 冬休みはイベントの多い季節。学童保育所という居場所で開催される、クリスマス会や工作、正月遊びなどの行事も、こどもたちはとても楽しみにしています。大きな行事だけでなく、ちょっとしたゲーム大会や手作りのおやつ、冬ならではの外遊びなど、小さな特別感が日々のワクワクと素敵な冬休み思い出を作り出してくれます。これらの経験は、こどもたちを「冬休みに学童に来られてよかった!」や「学童で楽しい思い出を作れた!」という気持ちにさせてくれる大切なものです。

③異年齢でのコミュニケーションが深まりやすい居場所!

 普段から学童保育所という居場所は「異年齢交流が活発な場」といわれますが、特に冬休みなどの長期休暇期間は学童保育所で過ごす時間が長くなることで、異年齢のこどもたちの関わりがいつも以上に増えます。年上の子が年下の子を助けたり、年下の子が年上の子を真似して挑戦したり、年下の子の動きに年上の子が刺激を受けたりと、普段とは少し違う関わりが広がり、学びが得られます。
 学童保育所という場所が「小さな社会」のように働き、お互いを大切にしながらコミュニケーションをとって支え合う雰囲気が生まれるのが魅力です。



◎冬休みの運営で大切にしたい支援のポイント

 「家庭支援」と「居場所作り」という重要な役割を果たす冬休みの学童保育所。そんな学童保育所を運営する上で大切にしたいポイントを、働いているスタッフの方々に向けて5つご紹介していきます。

①「動」と「静」のバランスを整えよう!

 冬休みは楽しく遊ぶ時間が多い反面、こどもたちが疲れやすい時期でもあります。興奮している状態が続いたり、気温の変化が大きかったりするため、知らないうちに疲れがたまってしまうのです。だからこそ、元気に遊ぶ「動の時間」と、落ち着いて過ごす「静の時間」がどちらも大切になります。
 動き回って遊ぶ時間の後には映画タイムや読み聞かせの時間をつくったり、大人数での行動に疲れが見えた時には少人数で過ごせる落ち着いたスペースを整えてあげたりする…といった工夫ができます。休息の時間があってこそ、楽しい活動の時間が一段と充実するようになるのです。

② こどもが見通しを持てる工夫をしよう!

 朝から1日保育となる冬休み中は、今日一日がどう進むか分かっているだけでこどもたちの安心感が大きく高まります。朝の会で「今日はこんな流れだよ」と伝えておくだけで、不安が減り、こどもたちは落ち着いて過ごせますし、気持ちを切り替えやすくもなります。
 見通しが立たないとパニックになりやすい子や、耳からの情報が入りづらい子もいますので、ホワイトボードなどに流れを記載してわかりやすく可視化しておいてあげると更に効果的です。

③ トラブルには落ち着いて対応しよう!

 冬休みは、こども同士のトラブルがいつもより増えがちです。長時間同じメンバーで過ごすこと、長期休暇であることやイベントが続くことで興奮状態になりやすいこと、気候や疲れの影響で気持ちが不安定になりやすくなることなど、さまざまな背景が重なるためです。
 大切なのは「トラブルは冬休みだからこそ起こる自然なこと」と捉え、過度に構えずに落ち着いて丁寧に向き合うことです。こどもたち一人ひとりの気持ちを聞き、安心できるように寄り添い、落ち着ける場所をつくってあげることが、冬休みの学童保育所ではとても重要になってきます。

④ 家庭との連携を深めよう!

 冬休みは、家庭の様子が見えやすくなる時期でもあります。お弁当や行動などをよく観察することで、こどもたちのちょっとした変化が目につく可能性も高くなります。保護者の状況も考慮しながら、こどもが学童で過ごしている様子を丁寧にフィードバックしたり、家庭での過ごし方についての相談に乗ったりすることで、学童保育所と家庭の結びつきがより強固なものになります。
 「せっかくの冬休みなのに一緒に過ごせていない…」や「どこにも遊びに連れて行けていない…」と、こどもに対して申し訳なさを覚えている保護者の方もいますので、「今日学童でこんな活動をしていて、楽しそうにしていましたよ」と支援員が声をかけてあげるだけでも、保護者は安心し、心の負担が少し軽くなるでしょう。冬休みは、学童保育所で働くスタッフが「共に子育てをする仲間」として保護者から信頼されるきっかけとなる時期でもあるのです。

⑤スタッフも無理をせず、円滑なチーム運営を!

 冬休みの学童保育所は、利用者だけでなく働いているスタッフにとっても忙しい時期です。朝から晩までこどもたちと長時間向き合う上に、行事の準備や年末の締め業務も重なることで、必然的に業務量と負担が増えます。だからこそ、スタッフ自身が無理をしすぎないことがとても重要です。こどもたちが健やかに過ごすためには、スタッフの健康管理も欠かせません。
 作業を分担したり、お互いの得意を活かし合ったり、こまめに休憩を取り合ったりしながら「チームで冬休みの学童保育所を運営する」意識を持つと、一人に負担が偏らずに動けるようになります。大人が心身ともに落ち着いている学童保育所ほど、こどもは伸びやかに安心して過ごせるものです。


まとめ

 冬休みの学童保育所は、保護者にとって必要不可欠な社会インフラです。何かと慌ただしい年末年始の時期に、安心してこどもを預けられる場所があり、そこで楽しく穏やかに過ごしていると思えるだけで、保護者の心には大きな余裕が生まれます。

 また、学童で過ごすこどもたちにとっても、いつもと変わらず迎えてくれる大人がいて、友達と笑い合える時間があることは、冬休み中ならではの不安や退屈をやわらげる大切な支えになります。学校が休みになっても「ここに来れば安心できる」や「自分らしく過ごせる」と感じられる場所があることは、こどもたちの心の安定につながるはずです。

 こうして家庭とこども達を同時に支え、社会・地域の中で温かな居場所を提供できることこそ、学童が果たす大切な役割だといえます。冬休みの学童保育所は、保護者にとってもこどもたちにとっても欠かせない重要な存在であり、これからもその価値はますます高まっていくでしょう。

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